防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者)には、消防用設備等を定期的に保守点検し、点検後は消防機関等に点検結果を報告する義務が課せられています。
・消防法第17条の3の3及び消防法施行令第36条第2項は、「消防用設備等の点検については、特定防火対象物の場合は消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない」と規定し、消防設備士等の保守点検業務への従事を義務づけています。
・したがって、保守点検・報告義務者が保守点検を無資格者に行わせた場合は、消防法第44条第11号の罰則、そして違反行為をした法人の代表者や従業員にも罰則(罰金30万円以下)が適用される場合があります。このように、消防法では、消防用設備等の保守点検は原則として国家資格者が行うこととして厳しいルールを課しています。
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A 点検の周期(消防用設備等の保守点検) |
機器点検; 6か月ごと
総合点検; 1年ごと |
B 報告の周期(同上) |
特定防火対象物 ; 1年に1回
その他の防火対象物; 3年に1回 |
参考 検査・報告の周期(防火設備定期検査報告) |
防火設備(防火シャッター等); 毎年 |
※-1 消防法第17 条3 の3 に「政令で定める防火対象物にあっては資格を有する者に点検をさせ報告しなければならない」と定められています。 |
報告義務者が「点検」を無資格者に行わせると消防法第44
条の規定により法人や代表者に罰則が科せられる場合があります。 |
※-2 業法とは、特定の業種の規律や適正な業務の実施等を定める法律のこと。
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発注者の視点
1 保守点検業務を委託(依頼)する際は、保守点検設備種目等に見合う消防設備士等・点検資格者の所属(会社名)記載により雇用等している消防用設備等保守点検業者であることが重要です。
2 また、消防用設備等は、複雑な機械・電気回路・危険物・防火システムなど様々な情報・技術で構成されており、保守点検を行う上で必要かつ十分な専門技術と現場経験、更には維持管理面で直ちに駆け付けることのできるサポート体制を有する消防用設備等保守点検業者に発注することが、自らの安全・安心の確保につながります。
3 さらに、消防用設備等保守点検に用いる試験器具等が、消防法令に基づく定期的な校正(性能評価)を受けていること、更にはそうした試験器具等を保有する消防用設備等保守点検業者であることも重要なポイントです。
4 したがって、保守点検作業に従事している者が必要な資格を有しているか、免許や資格者証を所持しているか、使用する試験器具等が定期的な校正を受けているか等の確認は、適正な保守点検・報告書記載の前提となるものです。
5 そして、実際に保守点検作業に立ち会うことが、消防用設備等の保守点検を通じた消防用設備等の現況・実態の把握、更には適切な防火対象物の管理につながります。
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<有資格者従事ルールと業者の関係>
・消防法令の基本ルールと実際に行われる一般的な保守点検の流れは次のとおりです。日々繰り返される生活の中では、発注者から依頼を受けた(保守点検委託契約を締結した等の)消防用設備等保守点検業者が、締結した契約等に基づき消防法令を遵守して保守点検を実施し
ています。
<実際に行われる一般的な保守点検の流れ>
(1) 保守点検業務は、防火対象物関係者が消防設備等保守点検業務委託契約に基づき委託した保守点検業者(消防施設工事業の許可業者など)が行います
(2) 防火対象物関係者との保守点検委託契約に基づき保守点検業務を受託した点検業者は、原則再委託禁止の契約条項等を遵守し、必携である各種試験器具を用い消防設備士及び消防設備点検資格者等を各種業務に従事(配置)させ保守点検・報告を実施します
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(3) 保守点検の完了後、防火対象物関係者は保守点検業者から提出のあった点検結果報告書を消防機関等に持参 (業者による代行含む)により定期報告します
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