いま私たちが『礼服』と翻訳しているフォーマル・ウェアという言葉は、フォーム、つまり形、形式を表す言葉に由来します。そして、このフォームには、狭義と広義の二つの意味があるのです。
礼装には、それぞれの服種ごとに細かく決められた着装上の規約と制約があり、それを少しでも逸脱すると、それはもう礼服を着ていることにはならなくなってしまうのです。これを狭義のフォーマルとしておきましょう。この意味でのフォームは、日本の和服の着装における規約についても同じで、その重要さは皆がよく心得ているものです。
一方、広義のフォーマルの意味は、同じ目的で集まる人は、みんなと同じ服装をしていることが当然である。という考え方です。全員が『みんなと同じ装いを』していて、はじめてフォーマルな場と呼び、フォーマル・ウェアと呼べるのです。
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私たちが礼装をするのは、礼服を着ること自体が目的ではなく、その集まりに対して敬意を表するためであり、その具体的な表敬手段が、礼装、つまりみんなと同じものを着るということなのです。その場をより格調高く盛り上げていくことを出席の全員が志すことこそ礼装の心なのです。
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