6 広義のフォームとは
  『みんなと同じ装い』の意

 いま私たちが礼服と翻訳しているフォーマル・ウェアという言葉は、フォーム、つまり形、形式を表す言葉に由来します。そして、このフォームには、狭義と広義の二つの意味があるのです。
 礼装には、それぞれの服種ごとに細かく決められた着装上の規約と制約があり、それを少しでも逸脱すると、それはもう礼服を着ていることにはならなくなってしまうのです。これを狭義のフォーマルとしておきましょう。この意味でのフォームは、日本の和服の着装における規約についても同じで、その重要さは皆がよく心得ているものです。
 一方、広義のフォーマルの意味は、同じ目的で集まる人は、みんなと同じ服装をしていることが当然である。という考え方です。全員がみんなと同じ装いをしていて、はじめてフォーマルな場と呼び、フォーマル・ウェアと呼べるのです。
 私たちが礼装をするのは、礼服を着ること自体が目的ではなく、その集まりに対して敬意を表するためであり、その具体的な表敬手段が、礼装、つまりみんなと同じものを着るということなのです。その場をより格調高く盛り上げていくことを出席の全員が志すことこそ礼装の心なのです。


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 1 不似合いな客は壁際の柱の影に
 2 エレガントな夜の装い 無地、暗調、光沢
 3 ショーとディナーと蝶ネクタイ
 4 シャワー、髭剃り、無地の服
 5 その名のとおり『はじめに時間ありき』
 6 広義のフォーム『みんなと同じ装いを』
 7 フォーマル・ウェアは二種類ある
 8 完璧さが求められるプロフェッショナルの答え
 9 みんなと同じ装いをするために
10 主催者自身が当日なにを着るのか
11 パーティはすべて夜の雰囲気で
12 招待客への表敬は最上級の平服で

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