ある中堅企業の幹部で堂々とした立派な紳士、Nさんがパリに出張した時の出来事です。
ある夜、同僚の男性と二人で、世界的に有名なレストラン「T」にでかけました。時刻が早かったせいか店内は比較的すいていました。ところが無愛想なボーイが案内したのは、壁際の柱の陰の席。窓際の見晴らしの良い席や中央の豪華なシャンデリアの下のテーブルは、後からやってきた白人たちに占められていきました。Nさんは、これは人種差別だ、と憤るのです。
Nさん、それは人種ゆえの差別ではなく、あえていうなら“服装差別”というものですよ。夜にはドレスアップしなければならないという考えと、その方法をご存知でしたか。
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Nさん、この次、パリに出張されたらもう一度そのレストランに行ってごらんなさい。必ず無地のスーツと無地のシャツ、そしてシックなタイをお締めになって。さらに完璧を期すならば、美しいドレスをお召しの奥様をお連れになって。
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前回に無念の思いで眺めた、あの煌めくシャンデリアの下のテーブルは、なんの苦もなくあなたのものになっていることでしょう。
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