わが国屈指の老舗デパート、提携しているパリのオート・クチュールからやってきたデザイナーの氏を囲むショーとディナーの会が催された時のこと。
ショー会場の入り口で、顔なじみの部長さんが「先生さすがですね」と声をかけてきました。それは、私の蝶タイに対するひやかしを込めたものとすぐにわかりました。そういう彼らの装いは、全員がブラック・スーツにお定まりの白の結び下げのネクタイ、いわゆるわが国特有の略礼装スタイルなのです。
ショーが終わり、ディナーのメイン・テーブルについた遠来のデザイナー氏を見てびっくり。なんということか、着ているジャケット、スラックスの組み合せからタイの形と色まで私とそっくり同じ装いではありませんか。
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多分こんなものだろうと、ある程度の予測はしていたが、色まで同じとは驚きであり、面はゆい思いをさせられたものです。
帰りがけに、先ほどの部長さん、「先生さすがですね」と再びいいました。こんどのさすがは本気のさすがであったと思うのですが。
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