日本におけるウールの歴史は、世界に比べれば比較的新しい。百済の聖明王が欽明天皇の時代(554年)に好錦(からにしき)二疋などを献じたことが日本書紀に出てくるのが最も古いとされています。現存するものとしては、法隆寺に緋および黄のもうせんがあり、正倉院には五段三釜が秘宝として残されています。
いわゆる羅紗という毛織物の形では、南蛮貿易が開かれた安土桃山時代以降のことになります。江戸時代に入ると、毛織物の輸入が次第に進み、明治になってからの生活の洋風化の一端として、服装に洋服が採用され、毛織物好きな国民性が芽ばえてきたようです。
明治2年、アメリカからスパニッシュ・メリノ種の羊を8頭輸入し、以後、日清、日露戦争を契機として急速に発展していきます。第二次世界大戦の受難の時代を経て、昭和22年に戦後はじめての原毛が輸入され、41年にはイギリスを抜いて世界一の輸入国へと躍進したのです。
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