ホーム > 組合の管理・運営 > 組合の規約 / 規定について
組合の運営や管理に関する基本的な事項は、法律や定款に規定されています。しかし、実際に組合を運営し、各種事業を行うためには、更に細かな実施基準が必要となります。
例えば総会開催のための基本的事項である開催予告期間や議長の選任方法などは、法律や定款に規定がありますが、その事務的な処理方法である招集通知 や代理人出席の場合の委任状の様式、提出された白紙委任状の取扱い方等については、定款等に規定がないため、処理基準の設定が必要です。
組合事業の実施にあたっても、規約の制定は重要です。定款には、組合が実施する事業の種類こそ規定してあるものの、これだけでは具体的な事業の内容はほとんど分かりません。したがって具体的な利用規約の設定が必要となります。
このように規約・規程は、組合を運営していくうえで必要欠くべからざるものです。
一般に「規約」と「規程」はかなり混同して用いられ、実際には規程とすべきものを規約としたり、規約とすべきものを規程としたりしていることが多くみられます。
規約とは、組合の業務運営及び事務執行に関して組合員間を規律する自治規範で、その設定、変更及び廃止には総会又は総代会の普通議決(出席者の過半数で決し、可否同数のときは議長が決する議決方法)を必要とします。
一方、規程は、組合の事務執行上に必要な関係を規律するもので、直接組合員の権利義務に影響を及ぼすことのない事項に関する内規をいい、その設定、変更及び廃止は理事会で行います。
つまり、それが規約であるならば、法律上必ず総会の議決を経て設定しなければならず、それが規約でないならば、その設定は理事会において行ってもよいことになります。
規約とすべき事項については、法(中小企業等協同組合法第34条、中団法第5条の23第3項、第44条)では、次の5項目を規定しています。
(1)総会又は総代会に関する規定
(2)業務の執行及び会計に関する規定
(3)役員に関する規定
(4)組合員に関する規定
(5)その他必要な事項
なお、組合事務局の職制や職員の就業規則等に関するものについては、規約とせずに規程として取扱い、これを理事会で決定しても差し支えありません。
定款と同様に組合の自主的法規である規約ですが、以下の点で定款と性質を異にしています。
(1)設定は自由
定款は、組合が存続する限り、これを廃止することは許されませんが、規約は、組合の自由な判断によって変更のみならず廃止することも可能です。
(2)設定・改廃は、行政庁の認可不要
定款を設定・改廃する場合には、必ず行政庁の認可が必要です。一方、規約の設定・変更又は廃止には総会の普通議決があれば足り、行政庁の認可を必要としません。
(3)定款に従属
規約は、定款に比べて相対的に軽微な事項を内容とするものであり、定款に従属する性格を持ちます。したがって、規約の内容は、法令はもとより当該組合の定款に反するものであってはなりません。
(4)組合設立後の設定も可
定款は、創立総会において設定されますが、規約は組合設立後の総会で設定することも可能です。
このように、規約は定款の補充規定としての性格を有しますが、設定された場合には定款同様に全組合員を拘束し、対組合員関係においては定款と同様の法的効力を有することに留意して下さい。
組合の意思決定機関には、総会、総代会及び理事会がありますが、規約の設定、変更又は廃止は前述のとおり、総会の議決事項で(中協法第51条第1項、第55条第6項、中団法第5条の23第3項、第47条第2項)、理事会等において決定することはできません。
規約・規程は、組合の運営に必要な事項の基準を定めるものなので、その設定・改廃は本来的には組合の業務執行、それも対内的業務執行の一部として、 理事会が担当すべきものと考えられます。しかし規約の設定・改廃については、その重要性から総会において決定するものであるのでこれを除き、専ら規程に属 するもののみが本来の組合の業務執行の一部として理事会の議決事項となります。
なお、総会及び理事会における規約及び規程の設定・改廃についての議決は、既述したようにそれぞれ過半数の出席(定足数)による、出席者の 過半数の同意によって行われます。
規約・規程の設定は、事業運営方針や基準を客観化し、かつ、これを公開する作用があります。また、組合の運営に関する実施基準が客観化されることで、恣意的な組合運営を防ぎ、組合員全体の利益に合致した運営に役立つことになります。
具体的には、次のような効果が期待できます。
①組合の経営・運営方針を明確に示し、活動目標とその方針の基準が与えられる。
②組合の経営活動における合理性が確保できる。
③組合の経営活動が標準化される。
④組合経営における統制の基準が明示され、組合の内部統制が可能となる。
⑤事業実施についての客観的基準が公開されることにより、事業担当者は業務上の運営のための極めて有効な基準をもつことになる。
⑥組合事業の利用にあたっての利用条件等が明確化されることにより、組合員の事業利用が円滑なものとなる。
⑦組合の運営に関する基準が明示されることにより、組合に対する組合員の権利義務関係が明確となり、事務手続上の混乱を防止することができる。
規約・規程は、①組合の事業(共同生産、共同加工、共同販売、共同金融等)実施のための利用条件に関するもの、②組合の意思決定機関である機関(総 会、総代会、理事会等)の運営に関するもの、③組合活動に必要な事務局等(事務局役員、職員等)の管理に関するもの、に大別されます。