●2020年組合トップセミナー・新春賀詞交歓会●
「ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所」
HILLTOP株式会社 山本昌作氏が講演
中央会主催による2020年組合トップセミナー・新春賀詞交歓会が1月16日、静岡市駿河区のホテルセンチュリー静岡で開催された。会員組合や行政、関係機関など、およそ300人が出席した。
組合トップセミナーでは、HILLTOP株式会社代表取締役副社長の山本昌作氏より講演をいただき、続いて行われた新春賀詞交歓会では、川勝平太静岡県知事をはじめとした来賓や組合代表者らが一堂に会し、新たな飛躍を誓い合った。
諏訪部会長は、「昨年来の不安定な国際情勢により海外経済に陰りが見え始め、我が国の景気も、現在は「足踏み状態」にあると言われている。このような変化の激しい昨今の社会情勢により、あらゆる経営環境の変化に対応出来る逞しい企業体質を築き上げることが肝要である。その為には、既存の組織の在り方を今一度見つめ直し、働くことの価値や意義を再度浸透させ、働き手の意欲向上を図り、全社が一丸となって困難に立ち向かえるよう、社内改革に取り組んで行くべきと考える。今、まさに中小企業は自らの変革に取り組むべき時だ」と決意を述べた。
セミナーでは、HILLTOP株式会社代表取締役副社長の山本昌作氏が、「ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所」をテーマに、楽しくなければ、仕事じゃない!「理解と寛容を以て人を育てる」の経営理念に基づき夢工場作りについて語った。
山本氏は、「三ちゃん工業」の鉄工所が、依存率8割の顧客を失い新たに顧客を掴むために奔走するも、機械、技術、人、金が足りないのが現状であった。とにかく人が欲しいので礼儀、教養、知恵もない若者を採用し、事あるごとに白衣を着て仕事をしようと夢を伝えたと語った。他では引き受けない単品物、試作品、利益の出ない仕事も積極的に引き受け技術を磨き新しい分野、製品を製造するようになった。
底辺からの挑戦の一つに、職人技を完全にデータ化することで、単純作業は機械が行いIT化していくことが挙げられる。職人の匠の技をデータ化させたPCと加工機をオンラインさせ、昼間作ったプログラムを夕方セットし夜間機会を稼働させ翌朝には加工品ができている。様々な仕事を引き受け、こうして合理化を進めながら新たに人を雇い36人いた従業員も140人が活躍する企業となった。鉄工所であるが女性のプログラマーも多い職場には、当時反対されていた社員食堂は欠かせない。この社員食堂で他部署の従業員同士がコミュニケーションをとり互いの情報を共有することでボトルネックがなくなったという。
また、従業員にはできうる限り意思決定を持たせ、80%できたらほめること、小姑めいたことは言わない、どうしたら気持ちよく仕事ができるのか、阻害要因を取り除いていくことが管理職の役割と認識している。こうして今では就職面接会で一番の人気で入りたい企業となった。仕事は面白いか面白くないかが決め手、変な客が来たらそれが本命だ、チャンスは平等に訪れるがそれを逃す人が多いという。
企業理念「理解と寛容を以て人を育てる」にはどこにも効率や技術が書いてない。異質な相手を理解して寛容になれるかが経営者、管理者、従業員とお互いにこうあるべきだと意思が伝われば優しい気持ちになり、そういう気持ちが企業には必要と語った。
続いて行われた新春賀詞交歓会においては、諏訪部敏之会長より年頭挨拶の後、川勝県知事、鈴木県議会議長、山口関東経済産業局産業部長らより祝辞をいただいた。鏡開きを実施した後、山内副会長の乾杯発声により、賀詞交歓会がスタートした。
賀詞交歓会では、静岡浅間神社祭礼囃子保存会 静岡勇会による寿獅子舞の舞い踊りも行われ、終始華やかな雰囲気となった。