静岡県中小企業団体中央会
会 長 諏 訪 部 敏 之
明けましておめでとうございます。
皆様に於かれましては、輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年の我が国経済は、海外経済の緩やかな回復や円安を背景に、年間を通じて景気回復基調となった1年でありました。一方では、少子高齢化による産業構造の変化や国内消費の低迷、自動車のEV化等技術革新に代表される経済環境の急速な変化に加え、企業の人手不足や後継者難が顕在化し、様々な産業・企業では、未だ厳しい環境に置かれているところがあるのも事実であります。
更には、昨今のデータ改ざん問題等、日本のものづくりに対する品質管理への信頼を揺るがす由々しき事態も発生しており、景気を牽引する輸出産業への影響等、今後の動向を注視する必要を感じております。
このような厳しい時代にあたり、我が国が真に景気拡大に向かうためには、国内企業数の99%を占め、全労働者数の7割の雇用を支える中小企業の飛躍が必要不可欠であり、同時に、企業は「顧客の視点に立ち、顧客の期待に応える」という経営の原点に戻り、産業界を挙げて信頼の回復に邁進せねばなりません。
そして、中小企業は今を自らの成長の機会と捉え、急速な環境の変化への対応を図るためにも、持ち前の柔軟性・機動力を十分に活かして、経営課題に果敢に挑戦していかなければならないと考えます。また、このような活動に対しましては、企業間の連携や業界団体等に代表される中小企業組合が核となり、中小企業の成長・発展を下支えしていくことが肝要であります。
中小企業並びに組合が時代の変革に迫られる中、昨年11月に発足しました第4次安倍内閣では、2020年度までを『生産性革命・集中投資期間』と位置付け、日本経済・地域経済を支える中小・小規模企業に対しまして、設備や人材への投資を後押しするべく、大胆な税制、予算、規制改革を断行することを表明され、既に、いくつかの施策が発表されております。今後、これらの施策が、中小・小規模企業への支援策として、大きな効果が発揮されることと期待するところであります。
本会と致しましても、現在の景気拡大が、県内の中小・小規模企業まで、確かな手ごたえとして浸透するよう、本年は以下の分野への事業を強化して参ります。
第1に、「事業承継の円滑化」に対する支援であります。
本会では、昨年度より後継者の育成を目的とした“後継者養成講座 未来アカデミー”を開講し、企業経営の継続的な発展に向け、一定の成果をあげております。本事業のより一層の充実を図ると共に、組合の機能を活かした組合員に対する事業承継支援の事業展開について、既に着手したパイロット事業を含め実証的に取り組んで参ります。
第2に、「労働生産性の向上」に向けた取り組みへの支援です。
昨年の中小企業団体静岡県大会に於きまして、労働生産性を高めるキーワードとして「ひとづくり」、「業務効率化」、「就業改革」を掲げ、従業員教育の強化、IT・新技術の導入等の具体案を提言致しました。これらを実現するための事業の具現化を図ると共に、組合の共同事業としての取り組みを積極的に支援して参ります。
第3は、「働き方改革の実現」を図るための取り組みに対する支援です。
人手不足の中にあって、「多様な人材の活用」と「柔軟な働き方への対応」は重要事項であり、地域や業種的な特性を配慮した手法の確立が不可欠となります。従いまして、人材と企業とのマッチングを強化する一方、組合の特性を活かし、好事例の収集やモデル的な取り組みを、傘下企業に普及・啓発する共同事業の提案を推進して参ります。
勿論、唯一の組合支援機関として、組合設立の促進や従前から取り組む中小企業の成長分野への進出、経営力強化を目的とした新商品・新サービスの開発や販路開拓等、既存組合の活性化に尽力すると共に、皆様の今日のニーズにお応えする新たな事業展開にも、積極的に取り組んで参る所存でございます。
新年を迎え、役職員一同、新たな気持ちで県内中小・小規模企業の活性化並びに静岡県経済の発展に邁進致します。
結びに、本年が皆様にとりまして、大いなる飛躍の年となりますことを祈念申し上げますと共に、本会に対します一層のご支援・ご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶と致します。