新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年の我が国経済は、大手企業の好業績に比べ、我々中小企業は、それを実感できない1年であったと言えます。かつては上場企業の景気が回復すれば、中小企業は6ヶ月後か1年後には景気が回復するというパターンがありましたが、現在では、諸般の経営環境の変化により、そのパターンが崩れております。正に、中小企業は自助努力で活路を開かねばならない時代が到来したと考えます。しかしながら、人口減少による人材確保難や市場規模の縮小、中国経済の減速やTPPの影響などが、我々中小企業の経営を大きく圧迫すると共に、経営判断を鈍らせております。
この時に当って、我々中小企業は、持ち前の柔軟性、機動力、創造力やチャレンジ精神などといった中小企業ならではの強みを生かして経営に当るべきであります。また、その強みを発揮するためには、企業間及び組合間の連携が何よりも肝要ですが、その連携に当っては、急速に変化する経営環境に対応するべく、従前の手法や業界のしきたりに捉われることなく、時代を先取りした組織づくりをして行かなければ、成果を得られないことも事実であります。要は、烏合の衆ではなく、気力に溢れる企業、または人の集合体でなければならないということです。
県内全企業数の99.8%を占め、全従業員数の77.2%を雇用している中小企業は、静岡県経済の根幹を支えていると言っても過言ではありません。地方創生が叫ばれている昨今、県内経済の発展に寄与するためには、中小企業の更なる飛躍が不可欠であります。
そのような中、昨年12月19日に中央会は創立60周年を迎えました。昭和30年の創立当時、281組合の会員数が863組合となり、その傘下には約7万社の企業が存在するまでに成長致しました。この60年という節目の年を、中小企業並びに組合の皆様と共に新たな時代へ踏み出す第一歩と捉え、過日開催致しました創立60周年記念式典において、「連携組織を通じて中小・小規模企業の経営安定・向上に寄与する」という発足の原点を再確認し、“地域経済の明るい未来の実現”に向け、中小企業の皆様と共に力強く前に進むため、「ひとづくり」「産業づくり」「地域づくり」の3つの柱を行動指針とした「未来宣言」を採択致しました。
今後、私共中央会は、中小企業の挑戦意欲を喚起すると共に、中小企業の体質づくり、人づくりなど、所謂、組合並びに傘下組合員企業各位の体質強化のご支援に邁進したいと存じます。特に、我が県は国のものづくり補助金の採択件数が2012年度から3年間で1,845件、全国4位という実績があります。今後も引き続き、情報提供やビジネスマッチング、売れる製品・サービスづくりなどのマーケティング支援にも注力して参ります。また、先端成長産業への参入も重要でありますが、中小企業ではコストや投資規模等において難題があります。そのため、今ある技術をベースにした身近な視点でのものづくりやイノベーションを後押ししたいと存じます。更には、誰もが安心して暮らせる地域を構築するため、地域密着型産業、コミュニティビジネスの支援にも力を入れて参ります。
新年を迎え、役職員一同、新たな気持ちで業務に邁進して参りますと共に、この未来宣言に基づき組合組織を通じた中小企業の振興に全力で取り組み、全ての中小企業の「夢と幸せ」の実現に向けて事業を展開して行く所存であります。
結びに、組合並びに組合員各位におかれましては、我が県経済の更なる発展と中小企業振興のために組合を中心とした「連携」の力を遺憾なく発揮され、新たな道を切り開かれますことにご期待申し上げます。
本年が皆様にとりまして、大いなる飛躍の年となりますようご祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
静岡県中小企業団体中央会
会 長 諏 訪 部 敏 之