茶論(Saloon)    お茶をおいしく入れるポイント

 

 

  緑茶と健康 
 今日の漢方薬も基礎を築いたと伝えられる「神農帝」が、山野を駆け巡り、人間に適する野草や樹木の葉などの良否をテストするために、一日に72もの毒にあたり、その度に茶の葉を用いて解毒したといわれています。
 また、『茶は養生の仙薬なり、延齢の妙術なり。山谷これを生ずれば、その地、神霊なり。人倫これを採れば、その人長命なり』、
『種々の薬は各々一種の病の薬なり、茶は万病の薬となる』
 これは、中国から茶の種子をわが国に持ち帰り、以後の茶の普及の礎を作ったとされる栄西禅師の著した「喫茶養生記」の一文です。これらのことから、茶は、日常の飲物というより、薬(解毒剤)としてその歴史が始まったといえます。
 緑茶が「仙薬」として注目され続けてきたのは、お茶には、他の植物には余り存在しないカフェインとカテキン類が多量に含まれていること、そしてそれらがお湯でよく溶出されることによります。
 また、カフェインやカテキンのそれぞれの苦味や渋味がお茶の味を特徴付け、これが人を引き付けていると共に、カフェインの薬効(中枢神経興奮、利尿作用)が速く現れることによって、お茶の効果を直ちに体感できたことによるものです。
 日常飲んでいるお茶が、薬としての効能・効果を目的に飲まれ始めたとは驚きですね。
 しかしながら、もしお茶に劇的な薬効があったとしたら、このように日常的な飲物にはならず、漢方薬のように決められた用量、用法を守って飲まなければならないことになっていたでしょう。
 近年、お茶の持つ様々な成分に健康に対する効能・効果があることが明らかにされつつあります。
 特に、緑茶に含まれるカテキン類は多くの効能・効果が確認されており、お茶が改めて見直されています。
日々楽しみながら飲める健康飲料、これが緑茶であったといえます。
 お茶に含まれる各成分の効能・効果につきましては、次の表をご参照下さい。
 
成分
含有量
効果・効能
水溶性成分
カテキン類 10〜18% 抗酸化、抗突然変異、抗癌、血中コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、血糖上昇抑制、
血小板凝縮抑制、抗菌、抗虫歯菌、抗ウイルス、
腸内菌叢改善、抗アレルギー、消臭
カフェイン 2〜4% 中枢神経興奮、眠気防止、強心、利尿作用、代謝促進
テアニン 0.6〜2% 血圧上昇抑制、脳・神経機能調節
フラボノール類 約0.6% 毛細血管抵抗性増強、抗酸化、抗癌、心疾患予防、消臭
複合多糖類 約0.6% 血糖上昇抑制
ビタミンC
(アスコルビン酸)
0.15〜0.25% 抗壊血病、抗酸化、抗癌、かぜ予防、白内障予防、
免疫機能増強
γ−アミノ酢酸
(GABA、ギャバ)
0.01%〜
0.1〜0.2%
(嫌気処理)
血圧上昇抑制、脳・神経機能調節
サポニン 0.10% 抗喘息、抗菌、血圧上昇抑制
ビタミンB2 1.2mg% 口角炎、皮膚炎防止、脂質過酸化抑制
ミネラル類 3〜4% 亜鉛、マンガン、銅、セレン:抗酸化
亜鉛:味覚異常防止、免疫機能低下抑制、皮膚炎防止
フッ素:虫歯予防
香気成分 1~2mg% アロマテラピー効果
水不溶性成分
食物繊維 約30% 癌、心疾患などの生活習慣予防
タンパク質 約24% 栄養素
粗脂肪 3.4〜4% 栄養素
クロロフィル 0.6〜1% 消臭効果
ビタミンE 0.02〜0.07% 溶血防止、脂質過酸化抑制、抗癌、抗糖尿、白内障予防、
免疫機能増強
β-カロチン 約0.02% 抗酸化、抗癌、免疫機能増強
村松敬一郎編:茶の科学p.206(1991)に若干のデータを追加
 

 

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